上古への情熱

徒然なるままに上古に想いを馳せて書きつくる備忘録

系図:倭根子王家・吉備氏③

系図:倭根子王家・吉備氏② - 上古への情熱からの続き。

 

倭根子王家・吉備氏系図

系図作成上の基本的な考え方は「上古の時代の系図の作成 - 上古への情熱」及び「世代を修正した系図を作ってみる - 上古への情熱」を参照。

 


吉備氏と葛城氏の誕生

  1. 神武天皇にはじまる耳王家と、耳王家に妃を出した磯城にはじまる磯城県主家の血は、孝霊天皇にはじまる倭根子王家に引き継がれた。(系図:倭根子王家・吉備氏② - 上古への情熱
  2. 景行天皇倭根子王家の血を継ぐ播磨イナビ大郎女・若郎女姉妹を娶り、倭根子王家の後継の地位を手に入れて倭根子王家は断絶する。(解説:景行・成務天皇の不可思議 - 上古への情熱
  3. 播磨イナビ大郎女・若郎女姉妹の血は、香坂王・忍熊王兄弟に受け継がれるが、神功皇后の勢力に滅ぼされる。
  4. 一方、倭根子王家の傍流で播磨イナビ大郎女・若郎女の兄弟の吉備武彦の子孫は神功皇后につき、吉備氏として瀬戸内海海運を握り大発展する。
  5. 倭根子王家に妃を出した饒速日後裔の内色雄、伊香色雄の一族からは、神功皇后に味方した武内宿禰が出て、葛城氏として河内王朝を支え、こちらも大発展する。

 

日本統一時の国内情勢

  1. 仲哀天皇関門海峡を初制圧(西暦361年)し、引き継いだ神功皇后は北九州を制圧(西暦362年)して日本統一を果たし、朝鮮半島+北九州の富が関門海峡を経由して一挙に瀬戸内海に流れ込んだ。(シナリオ:4世紀後半『神功皇后から仁徳天皇まで』 - 上古への情熱
  2. 神功皇后に続く応神天皇は河内・住吉に拠点を置き、莫大な富を背景に超巨大前方後円墳を築く
  3. 瀬戸内海海運を握る吉備氏も同時に巨大前方後円墳を吉備に作った

 

東国と西国の分割統治と吉備氏の滅亡

  1. 応神天皇以降、大和盆地に拠点を置く東国と、河内に拠点を置く西国とに分割状態で統治をしたようだ。(シナリオ:5世紀『倭の五王と二朝並立』 - 上古への情熱
  2. 反正天皇までは河内を拠点とした西国支配勢力が中心であったが、允恭天皇以降は大和盆地拠点の東国支配勢力に権力が移る。豊富な富を背景として東国の開発が一気に進んだため、相対的に東国の地位が上昇したためと思われる。
  3. 河内西国政権は瀬戸内海海運を握る吉備氏と葛城氏大和東国政権は和珥氏と息長氏が牛耳っていた。
  4. 大和東国政権の雄略天皇は皇統の統一をはかり、河内系の西国支配勢力を徹底的に排除。吉備氏と葛城氏が族滅した。(シナリオ:5世紀『倭の五王と二朝並立』 - 上古への情熱
  5. 吉備と葛城の滅亡の象徴として、雄略天皇は子のシラカ若倭根子清寧天皇に倭根子の祭祀を復活させた
  6. 清寧天皇は河内西国政権の武烈天皇に滅ぼされ倭根子の称号は一代で終わる
  7. シラカ若倭根子清寧天皇の名は武烈天皇の姉のタシラカ皇女が継ぎ継体天皇はタシラカ皇女を娶って武烈天皇を継いだ

 

倭根子の名は天武天皇

  1. その後の倭根子の権益は、天武天皇に伝えられる
  2. 皇極天皇天智天皇皇嗣を、天武天皇には倭根子の名を継がせたようだ。

壬申の乱以降、持統天皇が倭根子を継ぎ、以後和風諡号がなくなる平安時代までの多くの天皇の諡に倭根子が含まれることとなる